ピアノ道を極める

趣 旨
 人前でピアノを弾くと手が震える、家のピアノだと上手く弾けるのにコンサートではミスタッチの連続で沈没だらけ、他のピアノではタッチの違いが気になる、暗譜が飛んだ……などなど実力の50%ぐらいの崩落した演奏に陥るケースに我々アマチュアは苦しむのであります。プロのピアニストはこれを克服し大ミスをしない。これは「あがる」という精神的な面と演奏技術の訓練で克服すべきもの、単に「懸命に練習すれば」解決するものでもなく、正確なタッチやアーテキュレーションなど多くの要因を意識的に訓練することが必須のようであります。おばぴーはこれを「ピアノ道」と名づけ、これを極めることでピアニストの域に近づこうと考え、多くの達人よりノウハウを収集し公開したいと考えます。

  ★最近「ピアノ道を極める、の内容を参考にしてます」と言う多くのメールを戴いており非常に恐縮いたしております。元々師匠の指摘を自分のためにノートを取るようなつもりで記述しておりましたが、責任の重さを感じます。それに近頃は独善的な内容も加わっており、是非とも怪しいところはご批判を戴いて正していきたいと思います。一方記載内容とおばぴーの演奏が違う(言行不一致)局面も多々あるものと思いますがその都度お叱りを戴くことも大切です。多くの皆さんのご意見をお待ちいたしております。 (05年1月1日)

44 一般聴衆が喜ぶ珠玉のピアノ名曲楽しいプログラムを構築(14年6月24日)
43 先ず何時でも弾ける30分のレパートリ−をもつ (14年 6月14日)
42 トークなどの重要性(ステージの構成の工夫)    (14年 6月 8日)
41 ピアニストであることの意義             (14年 5月 6日)  
40 暗譜とノーミス演奏への道              (06年 5月20日)
39 以前弾いた曲は新しい目で譜読みから始めよう
 (06年 1月 9日) 
38 左右両手の音をキッチリ合わせる          (05年11月18日)   
37 クライマックスのffは重みをかけて弾く       (05年10月30日)  
36 オフ会におけるマナーを守ろう 2          (05年 9月21日)
35 オフ会におけるマナーを守ろう 1          (05年 8月20日)
34 1ランク上の演奏を目指そう 2           (05年 6月27日)
33 1ランク上の演奏を目指そう 1            (05年 6月 8日)
32 譜面をいろいろな角度からよ〜く読もう       (05年 5月21日)
31 集中力とは                        (05年 4月 9日)
30 無機質な演奏からの脱却               (05年 4月 2日)
29 鍵盤の上の手指をよく見よう             (05年 1月22日)
28 暗譜した曲は長い間忘れない            (05年 1月12日)
27 視奏は何故ミスが多いか?              (05年 1月 7日)
26 暗譜はノーミス演奏への道
              (05年 1月 1日)

1〜25 はここをクリック 

26 暗譜はノーミス演奏への道              (05年 1月 1日)

 昨年を振り返るとFANTASIA栃木では、30分間のソロ・ステージ演奏の実現を視野に入れた暗譜演奏と集中力の持続を課題として皆で取り組んだ一年でした。プロ・ピアニストの体験談を聞いたり、メンバーの中には例会の都度常に新曲を暗譜ノーミス演奏をされる方もおり、皆でこの課題を何とか克服したいと考え実行したものです。その結果12月の年末例会では全員が暗譜でほんとんどノーミス演奏が達成できたことで、皆さん達成感で大喜びでした。約20曲のプログラムの内譜面台が立った(視奏)のは2曲だけでした。昨年新しく入会されたメンバーは元々全員暗譜ノーミス指向の演奏でしたので、この方向に間違いのないものとの確信も得ております。ここでノーミス演奏とは明らかに止まったり弾き直したりという大きなミスが無いことと、演奏者はいくつかのミスは自分では解るが一般の聴衆には殆ど判らない程度のものです。従って全員がコンサートレベルの演奏が出来たと言って過言ではないようで、この1年間は大きな進歩です。やはり譜読みが出来てからの暗譜演奏のための弾き込みが効を奏していることで、慣れれば暗譜はそれほど大変なことではなくて、逆に良いことの発見がいくつもあります。それは後述するとしてとにかく「暗譜がノーミス演奏への道」であることが判ったことで大きな光明が見えたことになります。


27 視奏は何故ミスが多いか?               (05年 1月 7日)

 我々が箸を持って物を掴む時に、1本の箸は123の指で掴み他方の箸は34の指に挟む、箸を持つ位置や挟む食材に応じた力の入れ方など全て無意識の内に行う。同様に自転車に乗ったり、水泳やゴルフのスイングも全てその動作を体に覚え込ませて頭で考えなくとも反射的に動作を完結します。ピアノの暗譜も体が覚えて無意識に演奏する状態にまで訓練することで可能になります。頭の中に楽譜の全てを覚えそれに沿って演奏という説もありますが、一般に実用的ではありません。楽譜を見ない演奏となると、怪しい個所は必ずミスになるので指先にしっかり音を覚えこませるまで弾き込み練習をします。そのためには視奏よりも結果的に遥かに数多く譜面を読むことになるし、技術的にも音楽的にも緻密で深くなります。一方視奏の場合でも、譜読みが済んだ段階からは、一音一音譜面を読んでいる訳ではなく、視覚上のガイドとして譜面を見ているだけで、実は半分くらいはぼんやりと暗譜しているのですね。視奏での弾き込み練習は楽譜が前にある安心感から、弾き飛ばしてしまいがちで本当の怪しい個所がそれなりに残されてしまいます。大雑把に言って視奏を前提に練習した場合は暗譜演奏の60%程度の完成度で止まってしまい、これがミスが無くならない原因だと考えます。23で述べました「ミスをするのは夫々必ず原因がある」。
 いつも視奏で、コンクールなどに合わせて急に暗譜してもミスは出やすいでしょう。最初から暗譜演奏を前提とした譜読み後の弾き込み練習がノーミス演奏への道であると考えます。


28 暗譜した曲は長い間忘れない              (05年 1月12日)

 視奏で演奏した曲は1週間くらい経るとかなり退化してしまい急には弾けなくなります。一方良く弾き込んでしっかり暗譜した曲は2・3カ月また半年弾かなくても大丈夫何時でも弾けることに気付いてますか?プロ・ピアニストはご承知のようにソロ・コンサートは全て暗譜です。リサイタルでは約100分の演奏、更に数時間に及ぶ曲目をレパートリとしてキープしていることも我々からすると気が遠くなるような話ですね。彼らも暗譜することに関して我々と違った特別な才能があるとは思えないし、中村紘子さんやフジ子・ヘミングさんも結構若くないのに今でもどんどん新曲を暗譜して演奏しています。一般のコンクールやオーデションも全て暗譜で、ピアノには譜面台はありません。この辺の話を何人かのピアニストに聞いてみました。
 ……暗譜しないと自分のレパートリーにはならないし、逆に視奏では100分も弾けませんよ。視奏で弾いている限り何年ピアノを練習しても絶対に自分のソロ・ステージが務まるようにはなりません。慣れれば暗譜はそんなに苦労ではなく、逆に暗譜してないと危なくて絶対に弾けません。暗譜が飛ぶ心配なんて初歩的な話ですよ。……
すなわち、30分など比較的長時間の安定した演奏に挑戦することは「暗譜で」ということで、それを目指す方はオフ会は思い切って譜面台を倒して暗譜演奏をお勧めいたします。


29 鍵盤の上の手指をよく見よう        (05年 1月22日)

  どうもスム−ズに弾けない、音が外れる、クリヤーに鳴らない、何となくリズム的に違和感があるなど、自分にとって難しい個所やうまく弾けない部分がよくありますね。こんな時は楽譜をよく見て、ゆっくり確実なタッチで弾けるようにして繰返し練習し、本来のテンポで弾けるようにするのが一般的なセオリーですが、同時に無理な手指の使い方をしてないかをよ〜く目で見て確認することも大切です。打鍵をする時は指先が鍵盤の直ぐ上にあることが絶対に必要なのに、指がピョンと立っていたり(オクターブのトリル的な奏法での1の指が外に反り返って上に高く上がることもよくあります)、また鍵盤から外れた位置にあって打鍵までに余計な距離を動かしていることがよくあります。特に1の指が鍵盤から外れた手前位置にあったり、その他の指が黒鍵の外位置にあり、打鍵する時に前方向への移動が必要なことがよくあります。無駄な動作が入る分打鍵のタイミングが遅れ、ゆっくりの練習の時は良いが、本来のテンポでは無理が出てしまいます。これは手の甲の位置が手前過ぎることで、もっと鍵盤の奥に(黒鍵の方に)位置させる、また肘をあまり上げないように普段より意識的に習慣付けることで解決します。手首を柔かく使って指を先導しているか、指の第3関節(手首に一番近い関節)が逆に反って手の甲や指が固まってしまっていないか、音価の長い音で既に打鍵した後まで指に力が入った侭になって、他の指や手首の柔軟な動きを妨げてないかなど、結構解っている間違いなのに気が付かないことが多いようです。難所は手の形を正しく(卵を軽く持ったようなアーチの形)保てないと絶対に弾けない訳ですから、自分の目で頻繁に確認することはとても大切です。



30 無機質な演奏からの脱却               (05年 4月 2日)

 きちんと楽譜どうり正確に弾けている。指もよく回って音も外さないし、強弱や様々な曲想の指示もそこそこ出来て纏まっている。なのに音楽として訴えるものが無い、ハートが伝わってこない、いわゆる機械的で無機質な演奏というのに時々遭遇します。得てして子供の演奏はその種の感動を与えないことが多く、大人の演奏には技術的に問題があっても、しみじみとした情感を味わわせる演奏がよくあります。「もっと良く歌って」と言われて強弱、クレッシェンドなどに気を付けて演奏したり、声を出して歌うことや呼吸法との関連、オーケストラのチエロなどの弦楽器の演奏との対比を指導されても今ひとつ抽象的で要を得ない感じがします。曲を構成するメロデイーやフレーズに音楽としての「方向性がある」ということに着目してみると解り易いようです。メロデイーやフレーズには必ず頂点というものが存在して頂点に向かってクレッシェンドして音楽的また感情的なエネルギー・緊張感が高まって行き、登り詰めて頂点に達したら少しタメてからエネルギーが減少・弛緩して納まる。頂点はどこなのか、どこでどう納まるのかを読むことが解決策の一つのようです。それからクレッシェンドやデクレッシェンドを「段々強く・弱く」と言わずに「最初を丁寧に段々重く、段々力を抜いていく」というように言葉を変えてみると音楽表現が生きてくる、良い師匠は素晴らしく適切な表現(言葉)を多く知っていて感銘を弟子に与えながら指導をするものです。


31 集中力とは                       (05年 4月 9日)

 ピアノの演奏や練習に集中力が非常に大切なことは何となく理解していますが、この集中力に関し友人である村田ピアノ音楽院の村田貴洋氏がとても意義ある解説をされていますので、記述をご紹介いたします。ご自身の実体験を通じての非常に示唆深い内容です。勿論この集中力以外にもユーモア溢れるピアノに関する記述が多くありますので是非ご覧いただければと思います。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~mpiano/message/concentrate.html

 やはりピアノの練習をする時には常に全神経を集中させ、今この瞬間は何の練習しているのか、例えば指使いを直そうとしているのか、テンポを正しく矯正しているのかなど目的を明確にして、それに向かって集中訓練することが重要で、明確な目的・目標もなく漫然と弾き飛ばしているだけでは何時間練習しても時間の無駄(飛行機の自動操縦と同じ、は言い得てます)で何の足しにもならない……、おいらも師匠に常に言われていることですね。集中力を高めての練習は非常に頭を酷使する作業で、30分も練習するとへとへとに疲れますね。そして短い休息をとったり、気分を変えたりして続行することですね。この苦行を乗り越えてはじめて真の上達に繋がることに間違いないと考えます。


32 譜面をいろいろな角度からよく読もう           (05年 5月21日)

 我々は難所は懸命に指使いを検討したり、弾き込み練習も重点的にやるので案外暗譜もスムーズです。皆さんも良く知っているドビュッシーのベルガマスク組曲の「月の光」の冒頭のような、長い持続音で構成されてあまり動きの無いフレーズは、比較的平易な部分として、譜読みの段階もついつい弾き飛ばしてしまい勝ちです。その結果、意外に暗譜がうまくいかずに本番でポシャることがあります。指使いも自分の都合の良いように適当になりやすいところです。これに対して、譜面はいろいろな観点からよく読むことが必要で、「月の光」の8小節は一つのフレーズとしてメロデーを切らずに繋げることが必要で、そのための指使いは、小節をまたいでタイで持続する音を繋げるために頻繁に指替えを行うような運指の指示があります。この指示は理に叶っていますが思ったより複雑で、多分自分が譜読みで安易に決めた指使いとは違うでしょう。それから右手のメロデーの途中には下に別の声部があるので、上のメロデーとは区別して少し小さく歌う必要がありますね。一方左手は下降する和音の流れを、取り出して弾いてみる。このように各声部を取り出して同じ指使いできちんと弾いて練習をする。当然ですが3連と2連音符とを正確に弾分けることもいい加減になり易く、実は結構難しいのでテンポ(拍)感をキチンと訓練する必要があります。という具合に一見平易に見えるフレーズもいろいろな角度で譜面を読むことと、それに対応する練習が必要で、これにより音楽が深まり、しっかり暗譜することにも役立ち、次に述べる「1ランク上の演奏を目指す」ことに繋がります。


33 1ランク上の演奏を目指そう 1               (05年 6月 8日)

 新曲(以前に弾いた曲の掘り起こしでも)を練習するのに、譜読み後ひたすら弾き込みをやって曲を憶え込み、通しで弾けるように頑張ります。ここで一寸立ち止まって考えてみると難度の高い曲はメカニカルな技術面などの進歩は期待できますが、そうで無い曲やフレーズの場合は、新しい曲目が増えるだけで何の進歩があるのか疑問ですね。師匠をはじめ多くのピアニストの皆さんは、常に1ランク上の演奏を目指して練習することを指摘いたします。これは先ず楽譜どうりに忠実に丁寧に弾くということで、そのために楽譜をよく・よく・よ〜く熟読しアーテキュレーションや種々の指示記号を正確に把握し、自分の指の都合や思い込みで歪(いびつ)になっている部分を矯正することが第一歩でしょう。主としてリズム的な面での問題点が多く、音価や拍感がキチンと取れているかがポイントですね。メトロノームでのチェックも問題個所の発見に役に立ちますし、70%くらいの遅いテンポで弾いてみる手もあります。ritやrallのように次第に速度が変化する個所は自分で指揮者になったつもりで拍感をしっかり確保することも有効です。それから前項32で述べた多方面の分析も大切で、先生の指摘をマンネリにならずに、その都度しっかり受け止めることですね。我々が手がけるクラシック曲の楽譜は全て完璧なものです、暗譜などが進むにつれてついつい楽譜を見なくなる…これは間違いで、常に譜面台の上で見ながら怪しい問題個所を先送りせず掘下げた練習を行うことが大切です。1ランク上の演奏を目指しての、部分練習なしではいくら暗譜を目指して弾き込んでもノーミス演奏にもならないでしょう。各部分・小節に対して1ランク上の演奏の課題を課して、多方面からの検討と弾き込みをやって結果的にノーミス演奏も実現するもののようです。


34 1ランク上の演奏を目指そう 2              (05年 6月27日)

 より高い難易度の曲を選曲することも、1ランク上の演奏を目指すことで、先生の許可が出て取り組むことは、それ自体良いモチヴェーションになり嬉しいことですね。一般に難易度の高い曲とはメカニカルな意味でより高度なテクニックを要求するケースが多く効果的なことと考えます。一方「1ランク上の演奏を目指す」ことを、より音楽的表現を深めることと考えると意義は違ってきます。技術的に問題無いことで弾き飛ばしている曲やフレーズを題材に取り上げて表現を見直すことも大切であり、むしろ1ランク上の演奏を目指す絶好のテーマです。おいらもこの2・3年チャイコフスキーの「四季」やドビュッシーの「月の光」など一見技術的には容易に見える曲が実は非常に高い音楽性を持って、演奏の深さを要求するものであることに感銘しており、同時に大変勉強になりました。比較的容易な曲でも多方面からチェックしてみると、自分の演奏は問題だらけです。例えば
1 各声部をキチンと意識し表現されているか、2 和音の中の一番大切な音を意識しているか、3 音価が正しく表現されているか、4 拍感が正しいか、特に最終拍をあせって短くて1拍目が突っ込んでないか。5 例えばcrescendoの記号を見ると直ぐに強く弾いてないか(何処が最頂点なの)、6 部分的に速くなったり遅くなってないか、7 ペダルの使い方は……
などなど多くのチェックが必要でしょう。我々の演奏は平易なフレーズでもアシュケナージの演奏とは100ランクくらい違う訳で、細心の注意を払って先ず1ランク上の演奏にブラッシュ・アップする、すなわち音楽を深める努力が必要でしょう。


35 オフ会におけるマナーを守ろう 1            (05年 8月20日)

 人前演奏の場として、またピアノ同好の皆さんの交流の場として、サークル等でのオフ会(ピアノ練習会・演奏会)は非常に有効なイヴェントです。これ等のオフ会には通常一般の聴衆は殆どいなくて、演奏をエントリーした会員が演奏者であると同時に聴衆の役割を担うことになります。従って聴いて下さる人がいるという感謝の念を持って演奏する、と同時に他人の演奏も一生懸命聴いてあげることが礼儀ですね。よく自分の演奏時間に合わせて直前にやって来て、演奏を終わると他の人の演奏を聴かずにさっさと帰ってしまう人がいます。勿論これは極端な例でしょうが、多かれ少なかれ自分にとって興味のある曲目や演奏者以外は、実は他人の演奏はあまり聴きたく無いというのが本音の部分もあります。特に自分よりもレベルの低い演奏は早く終われば良いと思ってしまうことも否めない真実でしょう。その意味では、即席の連弾なども演奏者ご本人は一生懸命で楽しいでしょうが、聴かされる人への配慮も必要です。音大の先生などは学生の演奏を聴くのに2・3分聴けば十分その力量は判定できるので、後はイライラ鉛筆を転がしながら我慢をして聴く、結果音大生は10分以上の演奏をした経験が殆ど無いという驚くべき実体があるようです。。我々アマチュアの大部分はちゃんと他人の演奏を最初から最後のプログラムまで聴き、良い部分や努力した結果を賞賛しあいながら有意義なオフ会を楽しんでいますが、特においらのようなオフ会の主催者の側から見ると気になるマナーということでしょうか。 


36 オフ会におけるマナーを守ろう 2            (05年 9月21日)

 オフ会の運営でよく問題になるのは、「他人の演奏に対する批評」の在り方でしょう。お互いに切磋琢磨して上達するには、演奏上の良い点、直すべき点を相互にどんどん指摘するのが当然という意見があります。これは正論ではありますが現実には必ずサークル内で感情的な対立が起こって和が保てないという事態が起きます。どのサークルでも何回かこの問題が起きてその都度議論になる点です。先ず一つは批評する人の立場や技量の問題もあります。ピアニストなど明らかに指導的な立場にある人からの適切なコメントであれば納得できる面がありますが、同じ内容でも仲間内での頼みもしない指摘には不快感を感じ、腹を立てるケースが多いのです。ましてやボロボロの演奏に終わった時はなお更です。また先生に習っていて、人前演奏での問題点を発見する目的で参加をしているなどの理由で、他の人からの批評は不要だと考えている人も結構多いのです。逆に折角の演奏に何の反応も無いのは無機質で寂しいと多くの人が思っていることも事実です。結論としての演奏の批評の在り方は以下が適切と判断され、大体多くのサークルでマナーとして定着しております。
★1 他人の演奏の良いところを取上げて褒めることは問題無い、というより大いに推奨されるし、それを仲間内で話し合ったりしても良いでしょう。
★2 悪い点や、こう直せば良くなると言った内容は、本人から特別に指摘して欲しいという依頼がある場合のみ、自分の意見として本人に限定して知らせることが大切です。
★3 メンバー間の親密度が高い場合には一応上記の配慮をしながら「ざっくばらん」に意見交換することは可能であり意義あることと考えますが、常に相手の心情を量っての慎重な配慮が必要です。


37 クライマックス
ffのフレーズでは重みをかけて弾く    (05年 10月30日)  

 ショパンのバラード3番を弾いていて、
ff(フオルテッシモ・最も強く)のフレーズの音量が出ない、特に213小節からの最後の主題の再現部のクライマックスで何か物足りない感じがしておりました。この点に関し師匠の指摘は次のとうりです。
 「ffは最も強くという文字どうりの解釈で力を入れて前腕で弾いているだけでは音量が出ません。強くというよりも腕や体の重みをかけて鍵盤を底までしっかり落とすこと。右足はペダルの位置で左足を30センチほど手前にひいて、一音一音弾く都度左足を踏ん張って立ち上がるくらいに体重を載せる、すなわち重みをかけて弾くことで音量が出ると同時に深い音が出ます。前腕だけで強く弾いても浅くて・うるさい音しか出ません。それと左右両手の打鍵のタイミングがズレていると音量は出ないので一音一音ビシッと合わせる、すなわち譜面上での横の流れもともかく、縦のタイミングをしっかり合わせることが重要です。そのためにも左手も決して伴奏とか言う考え方ではなくて主役を担っているのですから、左手単独でしっかり弾き込む練習をすること、それと右手のトップの音を5や4指で明確につかんでメロデーを出すことも解っているのに忘れがちですね。前段のクレッシェンド部も段々強くではなくて「段々重く・重さをかけていく」と捕らえてクライマックスffに繋げましょう。」
「強くよりも、重く」なんと示唆深いお言葉ですよね。


38 左右両手の音をキッチリ合わせる              (05年 11月18日)

 バラード3番のような難易度の高い曲の場合、弾いていてどうしても曲全体のテンポのコントロールが出来ない、すなわち不確実なタッチが積み重なって段々あせって速くなり、暴走して演奏が破綻するケースです。これは元々技術的に及ばないメカニカルな面でのネックの場合は議論の余地がないが、部分練習では何となく弾けているのに通しで弾くとうまく行かない、慣れない別のピアノではコケルなどの問題でもあります。この原因の一つは左右両手の音が実は微妙にタイミングがずれていることです。前の37項でも述べた合わせるべき左右の一音一音をビシッと合わせることが必要です。特に片方が16分音符の音群、他方が8分音符を主とするメロデーが構成されているフレーズ、例えば125小節〜、136小節〜、157小節〜などでは、譜面上での横の流れよりも、先ず縦の左右両手の音を意識的にキッチリ合わせる練習が重要です。譜面上に合わせる音同士を鉛筆でマークを入れて、テンポなど無視してでも先ず合わせることが必要です。それと8分の6拍子では3,6拍が左右バラバラにテンポを喰って短くなりその分1、3拍目が前倒しになり暴走し易いので、しっかりと確認しながらの練習も大切です。難所は個別にこうすれば克服できるという上手い方法が必ずしもある訳ではないので、メトロノームを使ったり、重要な音を強調(アクセントを付けたり音価を倍にしてみる手もある)したり、リズム的にタッカーにしたりと、いろいろ観点を変えて自分で工夫をしてしっかり感覚的に認識して指に覚え込ませて解決する以外にはありません。


39 以前弾いた曲は新しい目で譜読みから始めよう       (06年 1月 9日)     

 本年の目標はショパン・バラード1番への挑戦です。この曲は10年程前に一度譜読みをして弾いた経験があります。師匠のお言葉では「前にやった譜読みは忘れて、新しい目で練習を始めて下さい。」と言うことで、これは以前にさらった曲はいろいろその時々の演奏レベルや音楽性などから間違って覚えていたり、リズム感なども自分の思い込みなどで変なクセが染み付いているので出来るだけ客観的な譜面の読み方や指使い、など新規に始めるつもりで取り掛かることが大切であるという意味ですね。体のどこかに以前に弾いた記憶が残っていて、確かに譜読みも早く進んでどんどん弾けるようになりますが、ついつい弾き飛ばしてしまいがちですが、いたるところに間違いや改善の余地が散見します。以前よりも音楽性が進んでいる前提で、譜面の隅々から読み込むことから始め、一方その間のトレーニングでメカニカルなテクも進歩していることを併せて音楽を深める、別の言い方すると前よりも数ランク上の演奏を目指して、新しい目で譜読みから始めましょう。


40 暗譜とノーミス演奏への道                     (06年 5月20日)

 バラード1番のような難度の高い曲を暗譜でノーミスで弾くということは、通しての集中力の持続という抽象的な言い方もありますが、本当にそんなことができるのだろうかと言う精神的なネガテイブなブロック乗り越える必要があるようです。元々暗譜演奏は何万と言う音を体が記憶するのに、知性では説明のつかない反復訓練による反射的動作の積上げであって、何故人間にはそんなことが出来るのか考えると想像を絶する行為のように思えます。従って「次の左手の2指の音はドだったかな?」などと疑問に思った瞬間に暗譜は飛びますよね。しかし古今のピアニストを始めとする演奏家は苦悩しながらもこれを乗り越えコンサートでは2時間に及ぶ暗譜・ノーミス演奏を当然のこととして遂行してきています。ですから自分も当然同じ人間として出来るものとして疑問を持たないこと、必ず暗譜・ノーミス演奏を達成できるという思い込みと自信を持つことが必須のようです。すなわち途中で暗譜が飛んだりするという危惧感を持たずに「暗譜で弾ききれるぞ」と思える瞬間から「暗譜とノーミス演奏への道」が開けてくるような気がしております。もちろんその段階に至るまでは各フレーズごとにしっかりとしたタッチで弾けるように練習を積み重ね、常に不安や疑問の要素を払拭しておくことが必須ですよね。
なので、逆に「暗譜は自分にはどうも苦手で。。。。無理だ」と思っているうちは何年練習しても実現しないでしょう。

お詫び:暗譜しないといけない、(一方FANTASIAの会の方針のように)誤解されるような不用意な書き方をしてしまいました。暗譜・視奏かなどの問題は夫々の方の考え方によるもので尊重すべき点ですよね。現実にアンサンブルや伴奏に限らず著名なソロの演奏家にも視奏の方もおりますし、趣味でピアノを弾く場合にも夫々の楽しみ方がある訳ですから。


41 ピアニストであることの意義                     (14年 5月 6日)

 ピアニストの会FANTASIAも開設以来15年になりますが、 その間毎月の例会のなかでプロピアニスト(演奏家)へのデビュー・リサイタルなどを 多数回実施してきて、多くのプロ・ピアニスト(演奏家)を輩出してきております。 URL参照 http://hob.web-service.jp/pianist.htm   ピアノを練習するということの究極の目的は、自分の演奏を仲間内の発表会ではなくて、一般のお客様に聴いていただき感動をあたえられたら最高の喜びと考えます。アマチュアピアニストの場合発表会やコンサートを開催しても集客は知人友人の範囲で個人的に頼む範囲で、特別な公共的な意義がないかぎりPRのための記事や放送などのマスコミ(新聞、放送、ケーブルTV、月刊誌など)、は絶対に取り上げてくれない。また一般聴衆は無料であってもアマチュアの演奏は誰も聴きにきません。 たとえばコンサートのちらしなかに謙遜の意味でアマチュアピアニストや日曜ピアノ弾きとなどと名のったり、プロフイールの中に○○アマチュアピアノコンクール1位と記載があると、この人はアマチャア(素人)なんだと判断され、どんなに実力があっても相手にされない現実があります。それと、出演料をいただいたり、入場料を取ったりするのにアマチュアピアニストということでは、済まされない責任が生じます。一般にはピアニストへのデビューリサイタルを公式に開催するのが、ピアニストになる1つのみちでしょう。勿論内外の有名なコンクールで入賞して即マスコミが取り上げてということもありますが。。一方プロピアニストとしての肩書きを得たとしても、何かの営業活動を自らしないと、どんなに高学歴のピアニストでも何年たってもコンサートの出演依頼は来ません。 そもそもピアニストに限らず演奏家の世界は演奏で飯が喰えるひとはほんの1握りの有名な演奏家であって、音楽を教えることなどとの抱き合わせで生活を構築する、うちの先生は時々コンサートを出演するピアニストということで、上質な生徒を集めるなどを考えるべきです。これを間違えるとかなり悲惨な人生に陥る実例が多くあります。


42 トークなどの重要性(ステージの構成の工夫)

 ホールなどでのコンサートを依頼され、ピアニストとして出演する場合、通常は90分くらいのステージになると思います。この間予定のプログラムに沿って無言で黙々と曲を演奏してもお客様である一般聴衆は面白い楽しいとは必ずしも感じないでしょう、これが有名な巨匠やピアニストのステージであれば、その内容が深いのでお客さまは飽きずに全曲を聴きにアンコールをもって、更に聴きたいということになります。しかし初心のピアニストはそもそも90分引き続けるプログラムが用意できて、それを弾き切る体力気力があるのだろうか。同じ演奏するにしても、間違えないようにに必死になって汗だくで弾く姿は聴衆に圧迫感を与えますね。例えば演奏のプログラムは60分くらいとして曲間はウィットに富んだトークで曲目の背景や由来などを説明することで、ステージが盛り上がって楽しくなりますね。また質疑応答の時間を設けたり、会場のお客さまと簡単な歌唱指導で歌を合唱するなど、双方向でのコミュニケーションや一体感を演出するなどの工夫が必要です。慣れたベテランのピアニストは実にトークもユーモアがあって上手いですね。
ステージは曲を弾くことと同様にトークなども含めて成り立つので、実はトークもかなりの練習が必要です。その時の気分で即席のトークが上手くできるわけではなく、ちゃんと原稿を作ってなんども実際に声を出して練習する、その録音を聞いてみる、などのトレーニングが大切だと考えます。ピアニストが一人で90分のプログラムを結構大変です。客層に応じていろいろ工夫しないと持ちませんよね。



43 先ず何時でも弾ける30分のレパートリ−をもつ

岩下淳子氏、いまや、国際派ピアニストとして内外のオーケスラや演奏家との協演などで不動の地位を築いて 活躍中で、今回、6月28日に予定の防衛大学校音楽隊とピアノコンチェルトを弾く予定でその練習のためその他で、久しぶりに我が家にきました。
http://hob.web-service.jp/psiwabouei.htm
終わったあとで、新進のコンサート・ピアニストのためのアドバイスをいろいろ聞きました。
一般にピアノの先生はピアノを弾けない。という不思議な現象を取り上げました。 ピアノの先生に1曲演奏して聴かせてくださいとお願いしても、「今日は楽譜が無いから、今別の曲を練習中なのでで、、、、などなどの理由」で弾いてくれない。要するに弾けないなんて変的ですよね。 すくなくともプロ・ピアニストである限りは常に30分・数曲のレパートリーは暗譜で弾けなければいけない。暗譜で弾けないのは考えている方向が間違いです。 時間を掛けて暗譜して弾き込んでおけば、一生忘れない、前の日に少しお浚いすれば何時でも弾けるはずです。でもコンクールなどの経験が無いと、審査員の先生の前で、暗譜がとんだらどうしよう、途中で止まったらどうしよう、という口から心臓が飛び出るほどの恐怖感を何度も経験初めて克服できるものです。。 ということで、プロのコンサートピアニストであるためには、暗譜で途中止まらずに必ず弾ける曲 をレパートリーとして少なくとも先ず30分もつことですね。


44 一般聴衆が喜ぶ珠玉のピアノ名曲の楽しいプログラムを構築しよう

 コンサートの依頼を受注したときにまず一義的には聴衆が楽しむ、喜ぶプログラムを選ばなければいけないと思います。新進のピアニストは最初から1000人規模のリサイタルの受注などはありえません。大体は100名以下の規模、そのホールの周辺地域の素朴にピアノ音楽を楽しみたいと考えて集まっていただく一般の方々です。そこには怖い顔の音大の教授やピアニストの実力を評価しようなどという考える御仁はまず参加されないと考えます。一般の皆さんは、芸術性の高い名曲であっても難解なものよりも、平易な美しく心に染みるようないわゆる珠玉の名曲と呼ばれるピアノ曲のプログラムとそれらの曲にまつわるピアニストの心温まるお話(トーク)で癒されたいと考えるのです。コンクールや多人数の演奏者によるコンサートと違って演奏技術を競うことが目的ではない。言い換えるとコンクールで入賞した難解な曲は実際にはなかなかこの目的には使えないということです。ピアニスト自身も難度の高い曲を間違えないように必死になって弾くよりも、技術的に余裕をもってその分感情を自由に込めて弾く方が良い。音楽教室の発表会などにに集まる、父兄や子供も同じです。 いままでに一番人気のあった曲(リクエルトなどのあった)はモーツアルトのトルコ行進曲でした。これに、時々コウベル、木ぎょうなどの面白い打楽器を混ぜてみるとか、全員で合唱をやるとかの変化を加えて、お客様に楽しんで帰って頂く。今活躍中のメゾソプラノ歌手の正地伸子氏「如何に与えられた時間を乗り切るか、そしてもう少し聴きたいというところでやめるか。日々考えております。やはりリピーターがいないと成り立ちませんよね。」というお言葉は重いですよね。